管理者の小説

チキータの遺産

第三幕 揺らぐ心◆3

16 それはもう、数百年も昔のことだ。 秋の終わり。もうすぐ冬に入ろうかという季節に、彼女は現れた。正直、自分ら三人の力に自惚れていた……いや、チキータの力を過信して、チキータこそが最強の存在なのだと信じ込んでいた彼らにとって、その少女が現...
チキータの遺産

第三幕 揺らぐ心◆2

15 老執事に連れられて、フラビオ一行は屋敷の端から中央へ移動して、主の部屋へとたどり着いた。そこには黒い燕尾服を着こなす、いかにもな貴族の青年が悠然たる様子で腰掛けている。フラビオはその姿を見て、最後に顔を合わせた時よりも少し痩せた気がす...
チキータの遺産

第三幕 揺らぐ心◆1

14 西門からロシュエルの城壁外へ脱出を果たし、ティスニア帝国とリコテスカ王国の間に広がる河川の岸まで来ると、そこには伯爵家の船が待機していた。一旦小舟を通し、フラビオたちをその船へと案内したのはマルティーニ伯爵家に仕える者だった。大きな船...
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チキータの遺産

第二幕 地方都市ロシュエル◆5

13 イラーナに惑わされて味方同士争っている隙に宿から逃げ出したフラビオたちは、鍵を一つ返してもらい、一時的にイラーナのものとなっている自分たちのビークルを走らせていた。ビークルの操縦はイラーナのほうが手慣れているので彼女に任せ、フラビオは...
チキータの遺産

第二幕 地方都市ロシュエル◆4

12 抱きしめていたチキータを優しく離して、腰にある荷物入れの中からビークルの鍵を取り出す。そして最初に渡した合鍵と同じ形をしていることを確認させると、イラーナに手渡した。「にひひ、まいどありー。にしても……こいつら、マジモンのテネブラエ一...
チキータの遺産

第二幕 地方都市ロシュエル◆3

11 ロシュエルの町の中はまだ警備が手薄だった。まさか、外の検問をくぐり抜けるとは思われていないのかもしれない。コラソンは一つ用事を済ませて置きたいというので、フラビオたちは彼女とは別行動でまず宿へと向かった。「僕は外を警戒する。フラビオく...
チキータの遺産

第二幕 地方都市ロシュエル◆2

10 フラビオたちは軽口を叩きながらビークルに戻った。その頃には、チキータとハイメも中に戻っていた。まだ一日は始まったばかりだったので、朝食をビークルの中でとることにする。チキータはすぐ自分の分を平らげると、今日は特別眠いとか言って、さっさ...
チキータの遺産

第二幕 地方都市ロシュエル◆1

9 窓から差し込む朝日に顔を照らされて、フラビオは目を開けた。そういえば体が横になっている。操縦席は狭いので横になるのは不可能。フラビオは気付かぬうちにシェルへと移動していた。 起き上がって、寝ぼけた頭を左右に振る。すぐ横を確認すると、そこ...
チキータの遺産

第一幕 呪いの指輪◆7

8 数時間後、フラビオがビークルを走らせ始めると、チキータとコラソンの二人は気持ちよさそうに寝ていた。今までで仕事でも夜中の火の番を交代でやったりすることはあったが、今回ばかりは交代してくれる人がいない。「ぬあああああ! やっぱり無理! 眠...
チキータの遺産

第一幕 呪いの指輪◆6

7 再びビークルを発進させて間もなく、ほどよい揺れが眠気を誘ったのか、チキータは眠りに落ちていた。それに、前日に誘拐、監禁があった昨日の今日の追っ手との戦闘とくれば、疲れが貯まっていても不思議ではない。 フラビオは、腕をハイメの魔法で処置し...
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