チキータの遺産

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チキータの遺産

第一幕 呪いの指輪◆7

8 数時間後、フラビオがビークルを走らせ始めると、チキータとコラソンの二人は気持ちよさそうに寝ていた。今までで仕事でも夜中の火の番を交代でやったりすることはあったが、今回ばかりは交代してくれる人がいない。「ぬあああああ! やっぱり無理! 眠...
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第一幕 呪いの指輪◆6

7 再びビークルを発進させて間もなく、ほどよい揺れが眠気を誘ったのか、チキータは眠りに落ちていた。それに、前日に誘拐、監禁があった昨日の今日の追っ手との戦闘とくれば、疲れが貯まっていても不思議ではない。 フラビオは、腕をハイメの魔法で処置し...
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第一幕 呪いの指輪◆5

6 次の日の明け方、田舎町ファフルと、地方都市ロシュエルを繋ぐ道。両脇には木が茂っていて、緑の匂いのする空気が美味しい。「うんうん、やっぱり似合ってるわ。前の黒も良かったけど、女の子はこう……華やかさも大事!」 普段、勝ち気で気丈な振る舞い...
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第一幕 呪いの指輪◆4

5 一通り自警団本部で暴れてきた――といっても、フラビオの役目は錯乱で、煙幕をばらまいてきただけだが――彼は、あらかじめコラソンと約束しておいた、合流地点に向けて森を駆け抜けていた。 わざと遠回りをし、何度も後方を確認したので、恐らく追っ手...
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第一幕 呪いの指輪◆3

4 そこは、ファフル自警団本部の地下牢獄。 ベッドや椅子、トイレといった最低限なものは用意されているものの、それらは簡素に簡素を重ねたもの。石壁は冷ややかで冷たく、それに触れている空気も同様に冷めている。そこに閉じ込められた少女が吐く息は白...
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第一幕 呪いの指輪◆2

3 殺戮の化身と呼ばれたテネブラエが世界を支配していた時代はそう昔のことではない。 人はそれを暗黒時代と呼ぶことで、表面上、歴史から切り捨てた。 現在、人間族と魔族の種族差別も薄くなりつつあり、共存共栄というのが人間が打ち出した答えだ。 し...
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第一幕 呪いの指輪◆1

2 フラビオは幼馴染とともに細長い道を歩いていた。 山間部の田舎町にあるにしては、隣町へ続く道は機械的なほど一直線で、見晴らしがいい。 トラックビークルがすれ違うだけの幅も十分あるので物流ももう少しあってもいいと思うのだが、やはり距離がある...
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序幕 復讐が生む復讐

1 女性は自分の愛した夫が、死体に変わっているのを見た。 辺りに散らばった研究の資料が、彼の死体から流れ出る血液で、研究室ごと真っ赤に染まっていく。夫の研究成果は、血の海へと沈んだ。 彼女の悲しみは深かった。悲鳴一つあげることができない。し...
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